「和プロジェクト TAISHI 書家の会」の設立に向けて、私の考えをお伝えしたいと思います。
「設立趣意文」として短くまとめて、
「WPT 書家の会」を立ち上げ、
この3年間で築き上げた全国神社仏閣での奉納揮毫の取り組みを、
今後の書道界の発展のため、さらに推進させたいと考えています。
はじまりは、2017年の全国護国神社への奉納揮毫でした
気づいてみれば丸3年。
きっかけは世界平和でした。
そして、はじまりは2017年9月21日の全国護国神社からでした。それが今では格式ある全国の中心的な神社 仏閣での奉納揮毫へと、和プロジェクト TAISHI の活動は発展し、実を結び始めています。
和プロジェクト TAISHI の奉納揮毫は商業イベントやパーティーでの書道パフォーマンスとは、明らかに重みが異なります。
そこに大義と名誉があるからです。
だからこそ私たちの活動は、
これまで多くのマスコミでとり上げられてきました。
日本の伝統、精神文化を伝える機会に
身内を相手にした書道界の内向きの発表の場ではなく、このような社会に向けて発信できる、対外的な書活動の場はそうありません。世界平和はまだ遠い先の話ですが、この3年間で築き上げてきた神社仏閣での奉納揮毫という取り組みは、書家にとっては新たな活躍の場となりました。
加えて全国高校書道部27校の参加など、若い世代にも向けられた和プロジェクト TAISHI の取り組みは、書道界の将来に大きな可能性を秘めています。
たとえば映画 「書道ガールズ!! わたしたちの甲子園」の題材にもなった、音楽に合わせて踊りながら揮毫する華やかな書道パフォーマンスには抵抗を感じるが、厳かな雰囲気の奉納揮毫には興味があるという高校生もたくさんいました。
また、次代を担う若者たちに書道だけでなく、日本の伝統文化、精神文化を伝える、またとない機会ともなりました。
一人でのプロジェクト継続の限界
しかし、書道界にとって新たな財産となりつつある奉納揮毫の取り組みや、
せっかく創出した活躍の場を、私1人の力で継続させることはもはや不可能となりました。
そこで書家の皆様が主体となって運営する「和プロジェクト TAISHI 書家の会」を設立しようと考えるに至りました。
書道界の仕組みを、これからも維持できるのか
今、どれだけの人が熱狂して紙芝居を見るだろうか。
どれだけの人がクラシカルな声楽を聴き、劇場まで足を運び、演劇を観に行くだろうか。
時代と共に紙芝居が漫画、アニメへと進化したように。
芝居が演劇、映画へと進化したように。
あるいは演劇と声楽が融合して、オペラやミュージカルに進化したように。
芸術や娯楽は人々の興味に応じて、常に新たな志向を模索します。
今、演劇もクラシックも人々の興味は、
すっかりマニアの世界に規模は縮小されました。
花嫁修業といわれた茶道も華道も、習う人たちは激減しています。
「花嫁修業」 という言葉自体が今や死語です。
水商売といわれた歌手たちが、ビートルズの登場以降、オピニオン・リーダーとして 社会にメッセージを発して大きな影響力を持ち、酒場ではなくドームで公演を行うよう になりました。
それと同じように和プロジェクト TAISHI のこの3年間の活動は、
今までにない活躍の舞台を、書家の皆様に提供できるようになりました。
全国の多くのメディアに取材されました
書家の活躍と発信するメッセージは毎回、全国の新聞紙面やニュース番組で踊るように報道されています。
直近の4月3日の催事には新聞紙44社、テレビ局19社(内NHK4局)、計63社が取材に訪れました。
先細りは書道界だけではありません。
日本人の宗教離れが進み、地方の神社仏閣は衰退の一途を辿っています。
そうした中、私たちの活動は「奉納揮毫」という今までにないジャンル、日本の精神文化と書活動の融合という、新たなシステムを書道界に創出し、地方の神社仏閣の活性化、地方創生にも可能性を見出しています。
芸術の大きな役割の1つは、
昔も今も平和に寄与することです。
平和だからこそ、文化も芸術も花開くのであれば、それを守る役割を芸術が担うことも当然でしょう。
だから、ペンは剣より強しを「書は剣より強し」という言葉に置き換えて、世界平和を願う和プロジェクト TAISHI の書活動は書家の本分ともいえましょう。
次世代のための、書家の会へ
「和プロジェクト TAISHI 書家の会」は極力、組織化を控えて「アベンジャーズ精神」(映画)で運営したいと考えています。
互いを尊重し合い、役割分担はしてもいわゆる縦社会の上下関係は作らないということです。
新型コロナウイルスの災禍により、
その前と後とでは、人々の意識や価値観は大きく変わります。
つまり、旧体制や金儲け主義は淘汰されるということです。
そして、書道界もその例外ではなく、旧体制は予想以上の早さで衰退する移り変わりに、書家たちは直面することになるでしょう。
旧体制から新体制への提案
コロナ禍で世の中の価値観がこれから大きく変わろうとする時、
「和プロジェクト TAISHI 書家の会」はそれに逆行して旧体制のやり方を踏襲しないよう、注意を払わないといけません。
既に私たちがこれまで体制の中心にいなかったということは、旧体制のやり方がそもそも私たちには馴染まない、向いていないということなのです。
和プロジェクトTAISHI代表
和プロジェクトTAISHI 書家の会 会長
宮本 辰彦